【ハミングバード・プロジェクト 0.001秒の男たち】は、2019年9月に公開された株式売買の高頻度取引(HFT)システムをさらに高速化していくエンジニアたちの物語。
この映画を見た人の中には、壮大なスケールの内容だったため「これは本当に実話なのか?」「モデルの人物はどんな人?」など気になっている人も多いようです。
そこで今回は【ハミングバード・プロジェクト】の原作本やモデルとなった人物についてご紹介していきますので、最後までお付き合いください。
- ハミングバードプロジェクトの元ネタ
- 原作本について
【ハミングバード・プロジェクト】は、2014年に発売されたマイケル・ルイス著書の「フラッシュ・ボーイズ 10億分の1の男たち」が原作となっています。
この原作本のモデルは日系カナダ人のトレーダー「ブラッド・カツヤマ」という人物でした。
ここからは、詳しく映画や原作本について紹介していきます。
【ハミングバード・プロジェクト】は本当にあった話を元に作られている

【ハミングバード・プロジェクト】は原作本「フラッシュ・ボーイズ10億分の1の男たち」を元に作られた映画。
このフラッシュ・ボーイズは、米国での株式市場が不正操作され大手銀行や取引所にとって有利な仕組みになっているのに対して「ブラッド・カツヤマ」が、より公正な取引所を創設しようと活躍する実話を描いています。
以下の通りに紹介していきます
- 【ハミングバード・プロジェクト0.001秒の男たち】のあらすじ
- 映画の原作本について
- 原作本のモデル人物紹介
- フィクションとの噂も
まずは、【ハミングバード・プロジェクト】のあらすじを簡単にご紹介します。
【ハミングバード・プロジェクト0.001秒の男たち】のあらすじ
ヴィンセントとアントンは従兄同士で、共に高頻度取引に携わっている。2011年、2人はある計画を実行に移すことにする。その計画とはカンザス州にあるデータセンターとニューヨーク証券取引所の間(約1600㎞)に、最短距離である直線で光ファイバーを敷設することである。これによって、従来より0.001秒早い注文が可能となり、ビジネス面で大きなアドバンテージを得られると考えたのである。
ところが、敷設に至るまでの道のりは決して平坦なものではなく、土地の権利保有者たちから光ファイバーを敷設する権利をやっとの思いで得た矢先、2人の計画を察知した元上司(エヴァ)から執拗な妨害を受ける羽目になる。しかも、ヴィンセントが胃癌であることが判明する。
Wikipedia
映画のタイトルとなっている「ハミングバード」とはハチドリのこと。「0.001秒」の部分は、ハチドリが0.001秒に1回羽ばたくことを表していて、一獲千金のために目にも見えない速さの0.001秒という時間にこだわるエンジニアたちの物語。
富を得るために「約1,600㎞もの距離をパイプで繋ぐ」という発想はさすがアメリカですね。
プロジェクト実行中には様々な困難が立ちはだかり、それをどう乗り越えていくのか?夢を諦めず進み続ける姿に胸を打たれます。
この映画の主人公ヴィンセントを演じるのは、映画『ソーシャル・ネットワーク』でアカデミー賞ノミネート俳優ジェシー・アイゼンパーク。フェイスブック創業者のマーク・バッカーザーグを演じた俳優で、今回の役もイメージにピッタリですね。
原作本はフラッシュボーイズ
映画『#ハミングバードプロジェクト 0.001秒の男たち』そんなに面白くなかったけどキャストで見れた😆ジェシーアイゼンバーグのクセになる早口と、つるつる頭のアレクサンダースカルスガルド👍✨✨#JesseEisenberg #AlexanderSkarsgård #TheHummingbirdProject pic.twitter.com/myTzBqU8YT
— はりさん@映画ブログ (@hari3cinema) July 9, 2021
これは凄い本。
2008年のリーマンショックで、ウォールストリートは規制が強化され健全になった、と信じられてきたが、その規制と民主化によって逆に、市場は、本当のイカサマ市場になってしまった、ということを白日の元にさらした本だ。
証券市場の民主化によってニューヨーク証券取引所とNasdaq以外の証券取引所が乱立するようになった2009年ぐらいから、ディーラーたちは不思議な現象に悩まされる。コンピュータスクリーンが映し出す各証券市場の売値と買値で取引しようとすると、ふっと売り物や買い物が消えてしまうのだ。その値が消えて、買う場合だったらば、必ずそれより高い値で、売る場合だったらばそれより低い値で取引が成立してしまう。
ウォール・ストリートの二軍投資銀行に務めるブラッド・カツヤマは、ドンキホーテのように、単身調査に乗り出す。
するとそこには、私たちの注文を10億分の1秒の差で先回りしていく超高速取引業者「フラッシュ・ボーイズ」の姿があったのだ。
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映画【ハミング・バードプロジェクト】は2014年に発売された、マイケル・ルイス著書の「フラッシュ・ボーイズ10億分の1の男たち」を原作として作られています。
マイケル・ルイスは、ブラッド・ピッドが主演を務めた映画「マネーボール」の原作本を書いている米国のノンフィクション作家です。
この「フラッシュ・ボーイズ」はブラッド・カツヤマという人物が、リーマン・ショック後の株取引において「公平・公正」を取り戻すために、完全に透明な取引所である「IEX(インベスターズ・エクスチェンジ)」という新たな取引所を立ち上げた実話を描いています。
「フラッシュ・ボーイズ」は株取引についての内容が書かれた本になっているため、株式市場について無知の方が読むには少し難しいようですが、株取引に詳しい方やこれから勉強していくという方には非常にオススメの本となっています。
さて、ブラッド・カツヤマという人物はどんな人だったのでしょうか?確認していきましょう。
原作本のモデルとなった人物紹介
名前 | ブラッドリー・トシオ・カツヤマ |
生年月日 | 1978年生まれ |
年齢 | 44歳 |
国籍 | カナダ |
母校 | ウィルフリッド・ローリエ大学 |
SNS |
ブラッド・カツヤマはIEXを設立する前、カナダロイヤル銀行に長年勤めていました。
カナダロイヤル銀行は、150年以上の歴史を持つ銀行で、世界で最も格付けの高い大手銀行の一つとなっているようです。そんな格式のある銀行に長年勤めていたなんて、かなりのエリートなんでしょうね。
そんな大手銀行に勤めるブラッド・カツヤマは当時、米国の株式市場が「プロの投資家や大手銀行にとって有利」だが「個人投資家にとって不利」な現状に対して公平な市場を作るために、勤めていたカナダロイヤル銀行を退職しIEXを立ち上げたそうです。
ブラッド・カツヤマは、この「フラッシュ・ボーイズ」でヒーローとして紹介されていて、一躍有名人となりました。現在も、IEXのCEOとして活躍されています。
フィクションとの噂も
ハミングバードプロジェクト、めっっちゃ良かった……!!株取引の話だけど思っていたよりウェットなので、そこで肩透かしを食らう人もいるだろうけど、個人的にはこのバランスがベスト。というかもう今年のベスト3に入るよこれは……!特に主演の二人が素晴らしいので、明日も行ってこようかな…
— yukihito (@yykkhhtt) September 28, 2019
映画「ハミングバード・プロジェクト」を観てきました。詳細は避けますが「フラッシュボーイズ」が原作ということなので、もっと金融(トレーディング)寄りの話かと思ったら光ファイバー敷設に情熱を傾ける人間ドラマ(?)でした。私としては期待外れでした。https://t.co/sFOEFXp531
— long gamma (@skew123) October 5, 2019
映画【ハミングバード・プロジェクト】は「フラッシュ・ボーイズ」という原作本を元に作成されているため実話と言われていますが、実話とは全く異なるという意見もあります。
その理由は「視点の違い」にあるといわれているので、簡単にまとめてみました。
- 映画は、高頻度取引を利用し膨大な利益を得ようとするエンジニアたちの物語
- 原作本は、高頻度取引において業者や大手銀行にとって有利な状況に対し、誰にとっても公平な新たな市場を作り出したブラッドの物語
また、映画は様々な意見がありますが金融系の話が少なく、原作本を読んでから映画を観た人にとっては物足りないという意見がありましたが、金融系の話が苦手な方には見やすい映画と評価されています。
しかし、両者とも映画のキャスト達への評価はとても高かったです。
キャラクターの設定にしっかりハマっていて、内容が分からなくても「俳優の演技を見るだけでも十分価値がある」という意見が多かったですね。
物語の背景を知ってもう一度見てほしい

いかがでしたでしょうか?この映画に限らず、原作を元に作られる映画には賛否両論ありますよね。
【ハミングバード・プロジェクト】は原作本の序盤に出てくる場面を表現しているため「実話」と告知されているようでした。
- 原作本は「フラッシュ・ボーイズ」
- 原作本のモデルは「ブラッド・カツヤマ」
- 映画と原作本は、それぞれ違う視点で描かれているため内容が異なる
- 原作本は金融系の内容で難しいが、映画は誰でも観やすい
ここでは原作についての紹介もしてきましたので、映画と原作本の視点の違いを見つけるために、もう一度【ハミングバード・プロジェクト】を観ても面白いと思います。